舌下免疫療法とは
~今までの対症療法から根治治療への時代~
アレルギーの原因となっている花粉等を少しずつ体内に投与することにより、徐々にアレルギー症状の改善を目指す「アレルゲン免疫療法」のひとつです。最近は、少量の治療薬を舌の下に投与する「舌下免疫療法」が登場し、ご自宅で簡便に行うことが出来るようになりました。
保険診療の適用範囲も拡大し、スギ花粉が原因の季節性アレルギー性鼻炎のみならず、ダニ(ハウスダスト)アレルゲンが原因の通年性アレルギー性鼻炎も保険で受けられます。
なお、強い副反応を避けるためスギ花粉症新規患者様の初回投与は花粉飛散時期(1月から5月)を避けて行います。他方、ダニアレルギーの場合は、いつでも時期に関わらず治療を始められます。
効率は約80%と報告されており、眼症状、鼻症状などスギ花粉症の症状全般に効果が期待できます。ただし即効性はなく徐々に効果が出てくるため長期の治療が必要です。花粉飛散期は点眼薬、点鼻薬、内服薬など従来の治療法も組み合わせて治療を行います。免疫療法の効果が出てくると併用薬の減量、中止が期待できます(効果には個人差があります)。
舌下免疫療法の主な効果
- くしゃみ、鼻水・鼻づまりなどアレルギー症状の改善・緩和
- 涙目や目のかゆみなど、アレルギーによる結膜炎の改善
- アレルギー治療薬の減量
- 生活の質(QOL)の改善
など
副作用について
少量とはいえ、アレルゲンを投与いたしますので、いくつかの副作用が現れる可能性があります。まず、舌の下に治療薬を置くことで口内炎、舌下の腫れ、口腔内の痒みが出現することがあります。この他、唇の腫れ、喉の痒み、喉の刺激感・不快感、耳の痒み、頭痛なども代表的な副作用です。
また、重症の場合はアナフィラキシーショックを引き起こすことがあります(日本の治験ではアナフィラキシーショックは発生しておりませんが海外では発生あり)。そのような症状が見られたときは、直ちに医療機関を受診してください。
費用について
健康保険の適応があります。3割負担の場合、診察代+薬代は概ね1ヶ月に3,500円ほどです。初診時や追加検査・治療が必要な場合は別途かかりますのでご相談ください。
具体的な治療の流れ
- 初診
- まず、
① スギ花粉症であること(血液検査が原則必要になります)
② 定期的に通院可能であること
③ 重度の気管支喘息、悪性腫瘍・免疫系に影響を及ぼす全身性疾患がないこと
を確認させて頂きます。
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- 初回の服用
服用の準備として医療機関を受診する2時間ほど前から、激しい運動、アルコール摂取、入浴などは避けておきます。
薬は、毎日1回ずつ服用するのですが、初回は医師による監督のもとで行います。(治療薬をいったん舌の下に置き、一定時間保持した後に飲み込みます。詳しい内容は、治療の際にご説明いたします)。
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- 服用後の留意点
- 治療薬を飲み込んだ後、5分間はうがいや飲食をひかえます。また、服用後2時間程度は激しい運動、アルコール摂取、入浴などを避けるようにします。
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- 2回目以降の服用
- 2回目以降は自宅にて服用します。(なお、副作用が見られた際は、医療機関までお問い合わせ下さい)。
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- 定期的に医療機関を受診
- 1か月に1回程度は医療機関を受診し、症状に改善が見られるか、または悪化していないかを確認いたします。
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- 数年間にわたり継続して服用
- 症状が改善したように見えたとしても、アレルゲンに対する反応が無くなったとは限りません。通常は3年以上の治療が推奨されます。(治療期間は患者さんによって異なります)。