骨粗しょう症とは
骨密度が減少することによって骨粗しょう症の状態になり、背骨が体の重みで圧迫骨折をきたし背中が曲がったり、軽い転倒で骨折するといった事態を引き起こしてしまいます。
国内で寝たきりになる原因の約10%は「骨折・転倒」によるものですから、注意が必要です。
女性に多い骨粗しょう症
2010年の調査では、日本の骨粗しょう症の患者数は約1300万人と言われており、そのうち女性は約75%(男性の3倍)を占める割合となっています。
骨粗しょう症が女性に多い要因として、閉経に伴う女性ホルモンの急激な減少が最大の要因と考えられています。女性ホルモンの分泌量が減少し、骨の新陳代謝に際して骨吸収を速めてしまうことでカルシウムが溶け出してしまうため、骨がもろくなってしまいます。
骨粗しょう症の合併症では、椎体骨折を起こしてしまうと椎体変形により脊柱が変形し、徐々に猫背体型になってきます。常に背筋を伸ばすため疲れやすくなる、前屈姿勢のためバランスを崩して転倒するなど、日常生活が困難となり生活習慣病を患うリスクが高くなります。
検査について
当院では、骨粗しょう症の早期発見・診断のために、現在の骨量を計測する「骨密度測定検査」を行っております。院内で簡便に測定でき即時結果説明できますので、どうぞお気軽にご相談下さい。
検査方法は手の横にアルミニウム板を置き、一緒にX線写真を撮影することにより、画像の濃淡の差をコンピューターに読み取らせて解析する方法となります。一般的な検査方法は、診察台に仰向けに寝て腰椎と大腿骨近位部で測定する方法が大半を占めますが、当院では患者様のお手間を取らせることなく簡単に検査が可能です。
診断基準については、脆弱性骨折(少しの外力で生じる骨折)のある方でYAM(若年成人: 20~30代の骨密度の平均値)の値が80%以下、脆弱性骨折のない方でYAM値が70%以下の数値であれば骨粗しょう症と診断されます。
治療について
主に骨密度の減少を防ぐのが治療の目的となります。その対策については、生活習慣を改善することでも可能です。そのため骨粗しょう症は「骨の生活習慣病」とも言われており、食事療法や運動療法が重要です。
骨粗しょう症との診断を受けたら、生活習慣の改善と併行して薬物療法による治療も行っていきます。骨の治療をすでに始めている方も、定期的に骨塩定量してお薬調整することも大切なことです。
1.食事療法
骨粗しょう症の治療や予防に必要な栄養素は、骨のリモデリング(※1)に必要なビタミンD・K、骨の主成分であるカルシウムやたんぱく質などです。
1日の摂取量の目安として、カルシウム700~800mg、ビタミンD 400~800IU、ビタミンK 250~300μgを摂ることが望ましいとされています。これらの栄養素を積極的に摂取しながら、バランスのとれた食生活に努めることが大切です。骨粗しょう症の人が避けるべき食品は特にありませんが、リンやカフェイン、アルコールなどの摂り過ぎには注意しましょう。
※1 リモデリングとは、骨を壊す働きをする破骨細胞が骨を吸収していく一方で、骨を作る働きをする骨芽(こつが)細胞が、破骨細胞によって吸収された部分に新しい骨をつくる代謝作用のこと。
2.運動療法
運動をして負荷をかけることで、骨は増加して丈夫になります。筋力トレーニングでバランス感覚が良くなり転倒を防ぐことにもつながるため、運動療法は骨粗しょう症の治療に最適です。 骨量を増やすには、ウォーキングやエアロビクスなどの中程度の強度の運動が効果的で、必ずしも強度な運動が必要ではありません。散歩などは可能なら毎日、あるいは週に数回でも継続して行うようにしてください。
3.薬物療法
既往歴や食事内容、血液データなどを評価して、下記の薬剤から治療に適したものを使用します。
- 活性型ビタミンD3製剤
- カルシウムの吸収を促進します。
- ビタミンK2製剤
- 骨形成を促進する作用があります。
- ビスホスフォネート製剤
- 骨吸収を抑制し、骨形成を促します。
- SERM
- 更年期症状を軽くし、骨吸収を抑制します。
- カルシトニン製剤
- 骨吸収抑制のほか、鎮痛作用もあります。
- 副甲状腺ホルモン製剤
- 骨芽細胞に働きかけ、骨形成を促します。