「夜尿症」は、「5歳を過ぎて1か月に1回以上の頻度で夜間睡眠中の尿失禁を認めるものが3か月以上つづくもの」と定義されています。
また「夜尿症」は、親の育て方や子どもの性格の問題ではありません。夜尿(おねしょ)をきっかけに、尿崩症や過活動膀胱、尿路感染症や二分脊椎などの病気が見つかることもあるので、6歳を超えても夜尿(おねしょ)がある場合は、是非、一度ご相談ください。
夜尿(おねしょ)の原因は大きく3つあります。
①睡眠中に膀胱がいっぱいになっても、尿意で目をさますことが出来ない覚醒障害を基礎としていること
②膀胱の容量が小さい、または、ある程度膀胱に尿が溜まると膀胱が勝手に収縮してしまうなど、膀胱の働きが未熟であること
③おしっこの産生を抑える、抗利尿ホルモンの分泌が少ないため夜間尿量が多くなる(夜間多尿)こと
7歳児における夜尿症の有病率(病気をもっている人の割合)は10%程度と言われております。
その後は年間15%ずつ自然に治るとされますが、0.5~数%は夜尿が解消しないまま成人に移行するといわれています。
しかし、生活指導をはじめとする治療介入を行えば、自然経過に比べて治癒率を2~3倍、高めることができ、治癒までの期間が短縮するといわれています。
1. まず問診にて、お子さんの排尿の特徴を確認します。
2. 日常の排尿状況を確認するため、尿回数や1回尿量などを記録する排尿日誌をお子さんと一緒につけてもらうようにします。
3. 診察、検査(血液、尿)にて、特別な病気がないかを確認します。
4. 1〜3を踏まえて、お子さんに合った治療法をご本人、ご家族と相談しながら選択します。
■生活指導
- 便秘があれば、その改善を図ります(腸に停滞した便が膀胱を圧迫し夜尿を誘発するため)
- 食事の味付けを薄めにする(濃い味付けは水分の過剰摂取につながり夜尿を誘発するため)
- 夜間の飲水量を減らす、就寝前の排尿を徹底するなどの生活リズムを見直すようにします
- こうした生活指導だけで夜尿が改善するお子さんもいます
■薬物療法
- 生活指導で改善しない場合、内服薬で治療します
- 数種類の薬を併用する場合もあります
- 治療開始後、3-6か月間の経過で治療効果を見極めます
■アラーム療法
- おしっこを感知するセンサーがついた小型のブザーをパンツに設置します
- 夜寝ている間におしっこが出ると、濡れたことに反応してブザーで知らせ、お子さんが起きてトイレに行くようにしていく治療です
- この治療で、睡眠中の膀胱の畜尿量が増え、夜尿が改善します
おねしょでお困りのお子さんは、「何とかしたい」「助けて」「治したい」といった、SOSサインを出していませんか?
お父さん、お母さんは、お子さんが、おねしょをする度に、ため息をついてしまったり、「もう、いい加減にして」といった、お手上げサインを出していませんか?
医療者は、おねしょでお困りのお子さんやご両親のそうしたサインに気付けているでしょうか?
当クリニックでは、「おねしょ」に関わる、それぞれの立場の「サ
イン」に向き合いたいと思っています。
一緒にお子さんのおねしょ(サイン)に向き合いましょう!
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