フジテレビ『日曜報道 THE PRIME』出演|医療機関の倒産が過去最多に。地域医療を守るために、今お伝えしたいこと

おはようございます!竹内内科小児科医院 院長の五藤良将です。

今回は、私たち医療現場がいま直面している深刻な現実について、地域の皆さまに正直にお伝えしたく、ブログを更新させていただきました。

また、本日4月13日(日)午前8時25分頃から、フジテレビ「日曜報道 THE PRIME」にて約5分間、私(内科医ごっち)のコメントが放送される予定です。ご都合のつく方は、ぜひご覧いただけたら幸いです。

現在、日本の地域医療はかつてないほどの困難に直面しています。

医療機関の倒産・閉院が過去最多に

2024年、日本全国で倒産した医療機関は過去最多の64件に達しました(前年比+56%)。内訳は以下の通りです。

・病院:6件
・診療所:31件
・歯科医院:27件

このうち、62件(96.9%)は破産手続き、2件は民事再生手続きでした。

さらに、同年の休廃業・解散件数は722件で、こちらも過去最多を記録。診療所だけで587件と、全体の81.3%を占めており、地域医療の中心である小規模なクリニックが最も厳しい立場に置かれています。

背景には、経営者の高齢化(70歳以上が54.6%)や、後継者不在といった構造的課題もあります。

咳止め薬が薬局にない? 医薬品供給の危機

最近、風邪や咳の症状で受診される患者さんの中に、「処方箋は出たけど、薬局に咳止め薬がない」と困られる方が増えています。

これは一部の薬に限った話ではなく、咳止め(メジコン、アスベリン、フスコデなど)や解熱剤、抗生物質など幅広く供給不足が起きているのです。

原因のひとつに、製薬会社が「薬価が安すぎて作れば赤字になる」いわゆる逆ざや状態に陥っていることがあります。その結果、採算が取れず製造が抑制されたり、一時停止されたりしているのです。

つまり、医師が適切に処方しても、薬局に在庫がなく、患者さんが薬を受け取れないという状況が現実に起きています。

これは診療所だけでなく、薬局や製薬会社も含めた「医療界全体の危機」と言えます。

医療機関を襲う“逆ざや構造”

診療報酬は国によって厳しくコントロールされており、収入は据え置き。
一方で支出は大きく増えています。

・医療材料や検査試薬の仕入れ価格が高騰
・電気代・ガス代・水道代といった公共料金の上昇(電気代は1.5〜2倍に)
・人件費の上昇(特に看護師や受付事務の採用が困難かつ高額化)

また、近年ではリフィル処方や長期処方を希望される患者さんが増えており、受診頻度や検査・処置の機会が減ることで、1件あたりの診療収益も低下する傾向にあります。

医療DXの義務化が追い打ちに

2023年から2024年にかけて、医療機関にはマイナ保険証対応のオンライン資格確認端末、電子処方箋、オンライン診療、本人確認システム(eKYC)などの「デジタル化(DX)」が次々と導入されています。

これらのシステム導入には、初期費用として50万〜100万円超かかることもあり、さらに導入後も、

・管理会社への保守管理料(月1〜3万円)
・セキュリティ通信費やサーバー接続料
・関連機器の電気代

など、毎月ランニングコストがかかります。

つまり、収入は減る一方で、設備費用や維持費は増え続けているのです。

医療=安定という時代は終わった

かつては「医療業界は安定している」と言われていましたが、現在はむしろ「リスク業種」と見なされることもあります。

実際に当院でも、都内のクリニック改修のために融資を申し込んだところ、「医療機関という業種だから」と断られた経験があります。

銀行ですら、医療機関を支援しづらいと感じている現実があるのです。

地域医療を絶やさないために

私たちは、地域の皆さまの健康を守るために、土日・祝日も休まず診療を続けています。
本日4月13日(日)も、白金高輪の五良会クリニックで10時から15時まで外来診療にあたっています。

それでも、制度・経済の両面で限界が近づいていると感じます。

このブログを通じて、私たち現場の医師・スタッフの置かれている状況、そして医療界全体が直面している構造的な問題を、少しでも多くの方に知っていただけたら嬉しく思います。

これからも、地域の皆さまのために、誠心誠意、医療を提供してまいります。

Author: 五藤 良将