【2024-2025年版】インフルエンザワクチンの重要性と効果について

 

 インフルエンザは高い感染力を持つウイルス性の呼吸器疾患であり、特に高齢者や免疫力が低下している人々、また小児において重症化しやすい疾患です。ワクチン接種は、インフルエンザによる合併症を防ぐためにも、非常に効果的な予防策とされています。インフルエンザワクチンはウイルスの感染を完全に防ぐものではありませんが、感染した場合の症状を軽減し、重症化を防ぐ効果が期待できます。

【ワクチンの種類】

<不活化ワクチン>

注射で投与される最も一般的なタイプで、活動を停止したウイルスが含まれています。従来の皮下注射のインフルエンザワクチンはこの不活性化タイプのワクチンです。

<生ワクチン>

鼻からスプレーするタイプで、弱毒化した生ウイルスを使用しています(フルミスト点鼻液)。今まで各医師が個人輸入して各医師の責任のもとで細々と接種されていましたが、今季から第一三共株式会社が正式に米国アストラゼネカ社から輸入して国内に正式ルートを通じて供給されるようになります(国内で製造していない輸入ワクチンとなります)。点鼻フルミストの対象者は、2歳~19歳未満の方のみと規定されております注意事項として今季(2024年10月から2025年1月まで)においては点鼻フルミストは小児のインフルエンザワクチン助成対象外です(当院は完全予約制で税込み9,000円となり、助成・減額されません)。生後6か月以上 13歳未満の方は通常インフルエンザワクチン(不活性化)を2回約4週間の間隔をあけて2回目を接種を必要とされておりますが、点鼻フルミストは生ワクチンであり、1回のみの点鼻投与でインフルエンザウイルスの予防効果があります。
フルミストは点鼻投与後に弱毒ウイルスが鼻咽頭の粘膜に感染を起こすので、血中にウイルス中和抗体であるIgG抗体を形成するだけではなく、鼻咽頭の粘膜面に分泌型抗体であるIgAを作ります。従来の皮下注射のインフルエンザワクチンは、中和抗体であるIgG抗体を作ることはできますが、粘膜面にIgA抗体を作ることはできませんし、細胞性免疫の誘導効果はほぼありませんから型が合わないと効果は期待できないのです。フルミスト点鼻液によって獲得されたIgA抗体は分泌型抗体で鼻粘膜面に分泌されるため、鼻腔にウイルスが入ってきた時に粘膜面で結合して体内に入らないようにすることができます。このためフルミストには重症化予防効果はもちろんですが、感染予防効果を期待することができるのです。フルミスト点鼻液は2歳以上19歳未満の方で、注射製剤インフルエンザワクチンよりもインフルエンザウイルス感染の予防効果が認めれたのですが、それ以上の年齢層には注射製剤インフルエンザワクチンと差が認められなかったため、点鼻フルミストの対象者は、2歳~19歳未満の方のみと規定されております。(2~49歳においてフルミスト点鼻液は有効であったと臨床研究で報告はあるものの、19歳以上の方への投与は、現時点で添付文書の適用外使用のため有害事象が生じた場合に補償されません。)フルミスト点鼻液は2歳未満では有害事象の方が強かったので2歳未満には使用しません。

Carter, N.J., Curran, M.P. Live Attenuated Influenza Vaccine (FluMist®; Fluenz™). Drugs 71, 1591–1622 (2011). https://doi.org/10.2165/11206860-000000000-00000

In a large phase III trial, LAIV, compared with TIV, was associated with an increased incidence of medically significant wheezing in vaccine-naive children aged <24 months and an increased incidence of hospitalization in children aged 6-11 months; LAIV is not approved for use in children <24 months.

In conclusion, intranasal LAIV seasonal influenza vaccine is effective and well tolerated in children, adolescents and adults. LAIV was more effective than TIV in children, although this advantage was not seen in adults. In the US, LAIV is indicated for the active immunization of healthy subjects aged 2-49 years against influenza disease caused by virus subtypes A and type B contained in the vaccine.

2024-2025年シーズンのインフルエンザワクチンに組み込まれている主なウイルス株

  • インフルエンザA (H1N1)pdm09類似ウイルス(A/Victoria/4897/2022 (H1N1)pdm09類似ウイルス)
  • インフルエンザA (H3N2)類似ウイルス(A/Massachusetts/18/2022 (H3N2)類似ウイルス)
  • インフルエンザB (Victoria系統)類似ウイルス(B/Austria/1359417/2021 (Victoria系統)類似ウイルス)

これらのウイルス株は、世界保健機関(WHO)の勧告に基づいて選ばれ、流行すると予測されるウイルス株に最も効果的に対応するように設計されています。

【接種の推奨事項】

インフルエンザのワクチン接種は、流行の前に行うことが推奨されています。一般的には10月から11月にかけての接種が効果的です。

インフルエンザワクチンは、免疫機能が大人のように整っていない子どもには、1回の接種だけでは十分な抗体がつくられにくいといわれています。2回目の接種によりブースター効果が得られ、より強くより長い期間の免疫獲得が期待できます。

対象生後6か月以上で12歳まで(13歳未満)の子ども
接種間隔1~4週間(できれば4週間)あける
接種時期10月頃に1回目を接種し、11月中に2回目を接種する
効果2週間ほどで抗体の上昇が得られ、5ヶ月ほど続くのが一般的

また、13歳以上は通常1回接種ですが、2回接種することもできます。受験生やご家族は年内に2回接種しておくと安心です。インフルエンザワクチンは、当院でも毎年10月上旬から接種を開始いたします。接種スケジュールで悩んでいらっしゃる方は直接ご相談ください。

【大田区の助成金について】

<高齢者インフルエンザ定期予防接種>

  • 対象: 65歳以上の高齢者
  • 実施期間: 2024年10月1日から2025年1月31日まで
  • 接種費用: 自己負担0円
  • 接種方法: 予防接種を希望する方は、予診票に同封する実施医療機関一覧(当院はもちろん該当に含まれてます)を参考に、予防接種の予約をしてください。

<お子さまのインフルエンザ予防接種>

  • 対象: 生後6か月以上中学3年生以下の大田区民の方(従来の皮下注射ワクチンのみ対象
  • 実施期間: 2024年10月1日から2025年1月31日まで。
  • 助成額: 1回の接種につき2,000円の助成(当院は税込み4,000円なので、自己負担は1回あたり2,000円となります)。
  • 助成回数: 生後6か月以上13歳未満の方2回まで、13歳以上中学3年生以下の方1回。
    ※ 注意事項として今季(2024年10月から2025年1月まで)においては点鼻フルミストは小児のインフルエンザワクチン助成対象外です(フルミスト点鼻液の値段は、当院では完全予約制で税込み9,000円となり、助成・減額されません)。

◆インフルエンザワクチン接種時期・効果について

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Author: 五藤 良将