インフルエンザ予防接種の副反応について
インフルエンザ予防接種後、注射部位が腫れる副反応は一般的に10〜20%の割合で見られます。この腫れは通常2~3日で治まりますが、長引いたり広がったりする場合は、医師に相談してください。また、かゆみを伴う場合は冷やして、かかないよう注意が必要です。
さらに、インフルエンザワクチン接種後には以下の副反応も報告されています:
- 発熱、頭痛、倦怠感
- 腹痛、下痢
- リンパ節の腫れ
- 嘔気・嘔吐
- 関節痛、筋肉痛
副反応は一時的なことが多いですが、重症化が心配な場合は、必ず医療機関に相談しましょう。副反応が気になる方や注射の痛みに敏感な方に、新たな選択肢としてフルミスト点鼻ワクチンが注目されています。
フルミスト点鼻ワクチンの特徴
今年から日本で承認されたフルミスト点鼻ワクチン(生弱毒化インフルエンザワクチン、LAIV)は、鼻腔から投与されるため、注射部位の腫れや痛みがないのが特徴です。特に注射が苦手な方や副反応が気になる方にとって、新しいインフルエンザ予防の方法として検討されています。
研究による有効性
アメリカの研究によれば、フルミスト点鼻ワクチンは2歳から17歳の小児・思春期において従来のインフルエンザワクチン注射よりも高い予防効果を示すと報告されています。また、健康な成人(18〜49歳)を対象とした研究(Monto, et al., 2009)でも、注射と同等の予防効果が確認されています。鼻腔からの投与であるため、注射部位の腫れや痛みはなく、鼻づまりや軽い上気道症状が見られることが特徴です。
どのワクチンが適しているか?
フルミスト点鼻ワクチンは、注射による局所反応を避けたい方には良い選択肢ですが、生ワクチンであるため、免疫抑制状態の方や基礎疾患を持つ方、妊娠中の方には不適な場合があります。接種を検討される際には医師と相談し、ご自身の体調や生活スタイルに合ったワクチンを選択することが大切です。
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【成人におけるフルミスト点鼻とインフルエンザワクチン注射の比較研究】
タイトル: Monto, A. S., et al. (2009). “Comparative efficacy of inactivated and live attenuated influenza vaccines.” New England Journal of Medicine, 361(13), 1260-1267.
【目的】この研究は、18~49歳の健康な成人を対象に、生弱毒化インフルエンザワクチン(LAIV、フルミスト点鼻)と不活化インフルエンザワクチン(IIV、インフルエンザワクチン注射)の有効性および副反応を比較し、どちらのワクチンがより効果的かを評価することを目的としています。
【方法】 無作為化二重盲検試験として、対象者をフルミスト点鼻接種群とインフルエンザワクチン注射群に分け、追跡調査を行いました。インフルエンザに罹患する割合や副反応の発生状況が記録されました。
【結果】
<有効性> 試験の結果、インフルエンザワクチン注射とフルミスト点鼻の間でインフルエンザ予防効果に有意な差は見られませんでした。どちらのワクチンも、18~49歳の成人で同程度の予防効果を示しています。
<副反応> インフルエンザワクチン注射は、注射部位の腫れや痛みなどの局所的な副反応が多く報告されました。一方、フルミスト点鼻は鼻腔内投与のため、注射に伴う局所的な反応はなく、代わりに鼻閉や軽度の上気道症状が見られました。
【結論】 18~49歳の成人において、フルミスト点鼻とインフルエンザワクチン注射は同等のインフルエンザ予防効果を持つとされています。フルミスト点鼻は鼻腔内投与であるため、注射部位の副反応を避けたい成人には良い選択肢となり得ます。ただし、フルミスト点鼻は生ワクチンであるため、免疫抑制状態にある方や基礎疾患がある方、妊娠している方には適さない場合があるため、接種の際は医療機関にご相談ください。